SUB PAGE2

下層ページ②

吾輩は猫である。名前はまだ無い。

  1. HOME
  2. 下層ページ②

何でも薄暗いじめじめした所で
ニャーニャー泣いていた事

だけは記憶している。


見出しタイトル

吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。
何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。

吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くと
それは書生という人間中で


見出しタイトル

しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕えて煮て食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。

ただ彼の掌に載せられてスーと
持ち上げられた時何だか

フワフワした感じがあった


見出しタイトル

ただ彼の掌に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。